赤川次郎「神隠し三人娘 怪異名所巡り」

主人公は町田藍、28歳。ついこの間まで大手バス会社のバスガイドをしていたけれど、リストラにあい「すずめバス会社」に入社した。ただ一つ普通のバスガイドと違っていたのは、霊感が強いことだった。こんな彼女は奇抜なツアーで霊にかかわり、事件を解決していくのであった。

心中無縁仏、これは最初にかかわったツアーで、心中事件のお墓見学ツアーなのである。

神隠し三人娘は、テレビ局を舞台にそこに起こる怪奇現象。小学生の女の子三人が8年前に神隠しにあう。一体彼女たちはどこにいるのか、生きているのか。

しのび泣く木、公園で一人男性が暴行によって殺される。それから数年後、公園の大木から傷つけるとそこから血が流れ出るという噂がながれ、そこから事件が勃発する。

怪獣たちの眠る場所、引っ越してきた家族がそこで見たものは? 人気子供番組がからんだ悲しい事件を藍が解決する。

未練橋のたもとで、映画の元になった話の主人公達が60年ぶりに再会することになった。その再会をみようとツアーが組まれる。そこにも欲のからんだ悲しい殺人事件が起こるのだった。

藍が自分の霊感を霊の安らぎ、成仏のために駆使し、事件の解決の鮮やかな手口。ホロっとする中に人情と、優しさが光っている作品である。

(文/ののこ)

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