綿矢りさはこの小説を書いたときは現役高校生で、2001年、この作品で第38回文藝賞を受賞した。彼女は堀田あけみ以来20年ぶりの史上最年少、17歳で受賞したわけだ。

この作品は、主人公の不登校の女子高校生と、ませた小学生がコンビを組んでパソコンのネットを利用してアルバイトをすることになる話である。

そのアルバイトとは、風俗の店のHPで行われるチャットをとおして客との対話で、相手の顔が見えない、年がわからないそれを利用して行われる。大人のアダルトな世界に迷い込んだこの子供達の目を通して書かれている。これが高校生が書いた小説かと思うと、すばらしい作品で、子供の心が現れたものだと感じられる。

壊れたと思ったパソコンが見事に生き返り、利用できるようになった、そしてこの主人公の私、そして小学生のかずよし、二人がこのアルバイトを通して少しだけ大人になり、この仕事を終わることと同時に、自分のこれからの生活をインストールしょうとする気持ちの移り変わりが書かれている。彼らにとって、このアルバイトはプラスだったか、マイナスだったか作者のみが知るだろう。

（文／ののこ）