幼稚園を途中退園させられたアケミ。この個性的なヒロインの中学受験までが書かれた小説である。主人公も個性的なら、彼女の父親も家族を巻き込むほど個性的に書かれている。
アケミの学校生活のこと、なぜ、どうして、この疑問を子供の目をとおしてはつらつと書かれている。
この小説の元になっている時代は、まさに私が子供時代に過ごしてきた時代である。トイレに関しても、またラジオ番組、テレビ番組、私たち当時の子供達が夢中になっていたものが私の目の前に現れ消えていく。今思うと、私自身、アケミに被さる部分がある。
昔の人情味と言おうか、近所のおじさんおばさん、また友達とのつきあい。なつかしいなあ。 この小説を読んでいて、まるっきりあの頃のことだ。もう、あれから40年もたつかと思うと、もう1回子供のころに帰って、アケミみたいにちょっと風変わりな子供になってみたいと思う。
(文/ののこ)