島本理生「ナラタージュ」

壊れるまでに張りつめた気持ち。そらすこともできない……二十歳の恋
大学二年の春、片思いし続けていた葉山先生から電話がかかってくる。泉はときめくと同時に、卒業前に打ち明けられた先生の過去の秘密を思い出す。今、最も注目を集めている野間文芸新人賞作家・初の書き下ろし長編。

恋愛とは何かという核質を突いた様な一作。

いくつかの出会いと別れ。心の奥に潜んでいた本当の恋心。心理描写が鮮烈で色彩豊か。主人公の気持ちが生々と伝わってきます。一人称によって見えなくなるもあるけれど、 それをカヴァーして有り余るほどの心理描写。

恋ってなんなのか。どうしたらいいのか。答えは一つではないけれど、そのうち一つを確実に提示してくれている一冊です。

──宝島社『この恋愛小説がすごい2006』に載せて頂いた私の書評で昨年度1位にした一冊。そこで書きたいことは書いてしまったので、そっちをめくってみてください。99頁参照。416字ですが書きたいことは詰まってます。多分、普通の本屋さんでも見かけられます。

(文/川端祐哉)

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