吉田修一「パレード」

ルームシェア。この頃この言葉も聞くようになってきた。一つのマンションを数人で借りて費用は折半。他人との生活にはいさかいも気遣いもあるだろう。

これは5人の男女の話である。

良介は大学3年生。琴美は無職で若手俳優と熱愛中。未来はイラストレーター兼雑貨店店長。直輝は映画配給会社勤務。

それぞれ年も仕事もまちまちな住人に新しく加わったのがサトル。夜の仕事(男娼)をしている。彼が加わったことで、それまで微妙に保たれていた仲間のバランスがいつの間にか失われていく。

個々の独白の形で書かれているさりげない文章の中に、吉田マジックが隠されているような気がしてならない。

(文/ののこ)

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