村山由佳「約束」

これはまだ昭和50年代の頃、小学生だった、主人公の男の子の目を通して思い出の形で書かれた話である。

仲間は僕ワタルと、ヤンチャ、ノリオ、ハム太の4人、いつもつるんではいたずらをしたり、遊んだり、叱られるのもみんな一緒だった。4年になったある日、1番元気だった、ヤンチャが原因不明の病気で入院した。しかし、その原因はアレルギーであることが判明してくる。 僕とノリオとハム太は、タイムマシーンを作り、未来にいってヤンチャの病気を治そうと考える。

しかし、それからしばらくしてヤンチャは病気に勝てずなくなってしま う。3人は約束する。本物のタイムマシーンが出来たら、ヤンチャが元気だった昔に戻ろうって。約束ってどういう事だろう。約束を果たすには力がいる。

あれから僕たちは大人になった。最後に出てくる、言葉がすばらしいと思う。歴史に「もし」はない、というあの有名な言葉どおり。いっぺんおこってしまったことは二度と変えようがない。タイムマシンを持たない僕らに許されているのは、過去の上に今を、今の上に未来を積み重ねていくという、地道な方法だけだ。後戻りは出来ない。

でも、過去を繰り返し、 見つめ直すことで、未来を変えていくことならたぶん、できる。簡単ではないにしろ、可能ではあるはずだ。

あなたはこの言葉どう受け取るだろうか。文も素晴らしいが、中に描かれている挿絵が暖かくて優しくて、何故か懐かしい気持ちにさせてくれる。

(文/ののこ)

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