初めて読んだとき、なんてファンタジックな物語だろうと思った。
もし、あなたの息子が時を越えてやってきたらあなたならどうする。そしてあなたのこれからの人生に大きな役割を果たしてくれたら。
宮本拓実の息子・時生はグレゴリウス症候群という病気のため、高校の入学とともに運命は否応もなく時生を取り込んでいった。
拓実は看病疲れが見える妻麗子に告白した。
「ずっと昔、俺はあいつに会っているんだ」
「今から二十年以上前だ。俺は二十三だった」
「あいつは時間を超えて、俺に会いに来たんだよ。今の状態でいえば、あいつはこれから、二十三だった俺に会いにいくはずなんだ」
23歳の拓実は、ある日、花やしきで不思議な青年に出会う。その名前はトキオ。そのころ荒れていた生活をしていた彼は、この不思議な事件に巻き込まれていく。
これから起きることも知っている、トキオ。拓実は複雑な環境を恨み、実の母親さえ恨んでいた。そんな心をトキオは解きほぐし、そして彼の母親になる、麗子に拓実を結びつけ、そして消えていった。
そして現在トキオは目が覚めることができるだろうか・・・
(文/ののこ)