紅玉いづき「ミミズクと夜の王」

元奴隷のミミズクは、夜の王に懇願する「私を食べてください」 拒絶する魔王と少しずつ心を通い合わせるミミズク。ある日近隣の王国からの住民に道を教えたために、 手枷足枷をつけたままだったその姿の情報が伝わり、王の力への欲も混じり、討伐計画が発表される――。

他の書評の、奇をてらわないというのは本当で、見せ方が純真な、いい感じの新人。

見せ方は児童文学風ですが、中身は濃い感じ。読みやすいのですが、心に残る物は大きいかなという作品。ちょっと粗い部分があるが、まっすぐな見せ方なので、逆に、素朴な感じを出しているのはいい味をだしている。舌っ足らずに愛嬌を感じるような感じ。

元奴隷が、魔物の住む森まで行って、自分を食べてくれっていうストーリー。それに、周りの国とかいろいろ絡んでいくけどハッピーエンド。めでたしめでたしっていうよりは、自分がしたいことを出来た結果が、この話のエンディング。 ライトノベルの臭いのしない作品。実際、イラスト入らず、境界作品の位置づけ。

期待の新人って感じで素敵だと思う。独特の読後感が何ともいえない味わい。ハッピーエンドなのに、もの悲しかったのは私だけだろうか。自分のしたいことをやり通す犠牲と成果。正しいとは何か。そんな事を考えさせられる一冊。

(文/川端祐哉)

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