鯨統一郎「九つの殺人メルヘン」

渋谷にある日本酒バー「森へ抜ける道」を舞台に店の常連工藤と、山内、そしてマスターの厄年トリオが、女子大生桜川東子が繰り広げるグリム童話の新解釈を元に繰り広げられる事件の真相のアリバイ探し。

東子はグラスの日本酒を呷るとどんなアリバイも見事に崩す。この物語は九つの有名なグリム童話からなっている。「ヘンゼルとグレーテル」「赤ずきん」「ブレーメンの音楽隊」「シンデレラ」「白雪姫」「長靴をはいた猫」「いばら姫」「狼と七匹の子ヤギ」「小人の靴屋」の童話を事件になぞられておもしろい話になっている。

そしてそこには、子供の頃やっていた懐かしい映画の話、テレビの話などが随所にちりばめてあるし、事件が解決したあと、マスターの「なんだか表にねずみの鳴き声が聞こえたぜ。今日はもう店じまいだ」で終わる。

もし、日本酒の銘柄や童話について知りたかったら、この物語を読んだらいかが。きっとあたらしい事実を知ることになるだろうから。

(文/ののこ)

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