角田美佐江と25歳年下の夫稔は以前、児童福祉施設「星の子学園」の保育士と生徒だった。夫婦は食事に出かけそこで一人の女と再会する。
そのことが二人の不幸につながり、やがて、その女に放火され殺される。 女の名は「アイ子」。やはり「星の子学園」にいたことがあった。自分の保身、欲望のために次々と殺人や放火を繰り返す背景には、彼女自身の壮烈で異常な生い立ちがあったのだ。
捨てた母を恋し、慕い、そして自分の真実を知ることになる。やがて、彼女は自分自身の心に追いつめられ破滅へと導かれていく。
さすが「OUT」などで女性の犯罪、心の寂しさを描いた作家桐野夏生の作品だと、感心し夢中で読んでしまった。
(文/ののこ)