これは、かの有名な山田邦子の作品です。彼女はこの作品の他にも色々な小説を書いている。彼女は実に多才であると思う。ドラマの他、物まね、手芸など、それにこの文才が加わるとは。天は二物を与えずとはいうけれど、彼女は二物どころか、三物もたくさんの才能をもっている。羨ましい限りである。
このオバサン・レディはいくつかの短編からできている。色々な話を通し、彼女は最後にこう述べている。
「オバサンとレディの間を揺れ動く女性達のいじらしさをこめて。そして、レディ=READY=準備、つまりそうはいっても避けて通れないオバサン化に向け、少しでも魅力的なオバサンになるための準備の意味をこめて、このタイトルにした。」
彼女や私を含め今日この頃忘れっぽくなったなあ、とか、筋肉痛が忘れたころにやってきたり、よっこらしよと声を出したり、オバサン化の傾向が出てきている人が居ると思う。ある反面ずるくなり、横着になり。でも、この本を通して私だけじゃないんだという勇気が与えられたような気がする。
また、彼女は、「いつか歳をとることが怖くなくなって、楽しみになったとき、女の人は人間として新しい段階に入るのだと思う」と書かれている。まったくその通りだと思うが、実際の私はまだ、あたふた戸惑っているばかりである。
(文/ののこ)