なかにし礼「てるてる坊主の照子さん」

この話は大阪に住むパン屋を営む夫婦とその4人の娘達の物語である。

娘達の名前は春子、夏子、秋子、冬子、ちょうどその季節に生まれたからそう名付けられたらしい。書きだしは末っ子冬子の小さいときの思い出から始まる。そして母親の名は、照子さんである。照子さんと夫岩田春男は戦時中見合い結婚をする。

そしてそこからいよいよ話が始まる。照子さんが生まれたときは大雨で、なにかこれからと言うときに必ず雨が降るため、てるてる坊主をつくるようになった。

さて、春子と夏子をふとした機会にスケートを習うようになる。彼女たちの才能は凄かったらしい。娘達のためなら、なりふり構わず娘達の才能を開花させた照子さんだからこそ出来たのだろう。

春子のオリンピックを目指す話、夏子の芸能界入り、そして春男の浮気 騒動を周りの人たちを巻き込んで話が進んでいく。普通の家の普通の家族の話が、何故か普通にならなくなってしまうのがこの岩田家の事だろうと、思う。

さて、この岩田家、実はモデルがあるのだ。照子さんは石田久子さんというそうだ。そして彼女の娘達は、春子は石田治子、フィギアスケート日本代表でグルノーブル冬季オリンピックに出場し、夏子はあの「ブルーライトヨコハマ」で有名な歌手から女優に転じた、いしだあゆみ、本名石田良子である。秋子のモデルになった3女は主婦になり、そして4女冬子は、この作者なかにし礼の夫人は、歌手だった、石田ゆりなのだ。

照子さんのエネルギー少し分けてもらいたいものである。

(文/ののこ)

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