一夜のうちに村民30人が殺害された。犯人は同じ村民だった。昭和十三年、岡山県の村で実際に起こった「津山事件」。この事件を当時の検事調書、供述調書、社会的背景を元に書かれている。
一人の若者が病気、対人関係、色々なことから神経を病み大量殺人の果て自ら自殺をした。この本には青年の生い立ち、村での生活、戦争、事件の発端、そして自らの死。いくつかの謎についての解釈が書かれている。
青年の心のうちは青年自身でしか分らないのではないだろうか。作家自身も事件の謎を完全に解明したなどと提言するつもりはないし、そうした自負はわたしの貧困な力量では許すところではない。
このことを通じて、犯人をはじめこれにかかわった人と時代と風土に関して、いくばくかの新たな認識がもたらされるとすれば、それだけでもわたしは満足するにちがいない。と書かれている。
この事件は後に小説として書かれている。 松本清張の「闇を駆ける猟銃」そして、横溝正史のあの有名な「八つ墓村」である。
(文/ののこ)