斎藤栄「日美子の魔家族」

これは、タロット日美子シリーズの姉妹編、柏木太陽シリーズの一つである。

推理作家柏木太陽が遠い親戚で姉のように慕う、二階堂日美子の告白を聞く所から始まる。この日美子はタロット占いを駆使し、事件を解決していくのは、この作品を知る方はよくご存じのことだろう。

この話は彼女の青春時代の苦く悲しい事件を書き表している。日美子を中心とした仲良しグループの一人田川有里江の姉左千子の失踪 と、もう一人の友人安城寺邦香の父・高校教師邦夫との交際、二人の秘密を探るために三人は行動をおこす。父の死体発見とその死体の消滅、また邦香の母の死、家族の絆とは何かを山上憶良の歌に秘めて、鮮やかなタッチで書かれている。

タロット日美子シリーズは、タロット占いに興味がある人は是非読んで頂きたい。わりとよく、占いのカードの意味が書かれて、それが事件解決に意味する過程が意外と面白いものであるから。

(文/ののこ)

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