僕は、小学三年生。夏休みに、田舎のおばあちゃんちに行く事になったんだ。一人で行くから少し不安もあるかな。
「次、遠山翔太君!」
終業式の日、先生がみんなに通知表を渡す。
「はい、遠山君は、欠席が一日もないよ。皆勤賞だ。」「へへへ。」
肝心の成績はと言うと、まあまあかな。だんだん、あっちの席からもこっちの席からも、いろんな声が聞こえてきた。
「はい静かに!明日から夏休みだけど、調子に乗って夜ふかしとかしないこと。出校日には、みんなの元気な顔が見られる事を楽しみにしています。それでは、さようなら。」「さようなら。」
教室を出ると、家まで走って帰った。
「ただいま。」
台所に行くと、もうお母さんがお昼ご飯を作って待っていてくれた。
「おかえり、一学期よく頑張ったね。」「へへへ。通知表は、まあまあだったかな。いっただきまーす。」
さっそく、お母さんが作ってくれたオムレツを口に入れる。ふんわりしてて、中はとろとろだった。
「もう、おばあちゃんに電話しといたから、それ食べたら支度しなさいよ。」
ついに来た。今日、電車に乗って出発する。支度と言っても昨日の夜に、必要な物は全部リュックに詰め込んである。
そして、お昼ご飯を食べ終わった僕は、駅のホームについた。お母さんも見送りに来てくれた。ガタンゴトンガタンゴトン、シュー。電車が到着した。
「じゃあ、分からない事があったら駅員さんにでも聞くんだよ。」「うん。」
電車は、ゆっくり動き始めて気がついたら、すごく速くなっていた。窓の外を見てみると、遠くの方に大きな山が見えた。何回か乗りかえたあと、やっと着いた。
「おばあちゃん。」
しわくちゃな笑顔で、おばあちゃんは待っていてくれた。
「よく来たね。疲れただろ?おじいちゃんも家で待ってるよ。」
ガラガラ、玄関の戸を開けると、畳の匂いがぷうんと鼻の中に入ってきた。
「こんにちは。」「おお、翔ちゃんよく来たね。しばらく見ないうちに大きくなったもんだ。」「へへへ。」
汗でべとべとしていたので、お風呂に入った。おじいちゃんも一緒だ。お風呂から上がると、いつの間に用意したのかと思ったほど、たくさんの料理が並べてあった。
「いっただきまーす。」
何だか自然の味がした。おじいちゃんが言うには、近くの畑でおじいちゃんが自分で作ったからだそうだ。
【元記事:B-Search NEWS No.1351】