恥ずかしいことに、大学生くらいまでハヤシライスがどういったものか分からなかった。
カレーライスとハヤシライスの違いが分からなかった。確かに、ぱっと見は同じだ。
味は当然のことながら、ご飯にかけているものが違うので全く違う。違いが分からないと人に言ったら絶句されたこともあった。
どうして分からなかったのか。それは簡単なことだった。ハヤシライスを食べたことがなかったのだ。
子どもの頃、食卓に上るのはカレーライスだけだった。ハヤシライスという言葉は認識していても、味も含めると分かっていなかった。
親は甘ったるくて嫌いだから出さなかったらしい。食べたことなかったというのは恐ろしいもので、ハヤシライスを初めて口にしたときから好きになってしまった。
ハヤシライスをはっきり認識できるようになったときから、カレーライスよりリードすることも出てきてしまったのである。
世間的に大して人気がある食べ物ではないのだろう。それでも、いいじゃないか。俺にはハヤシライスが合ってるんだよ。
【元記事:B-Search NEWS No.1330】