第46回「追悼・さくらももこさん」

僕が小学生の頃、アニメ「ちびまる子ちゃん」が全盛期だった。日曜日の6時は、ちびまる子ちゃん。相場は決まっていた。コミックも読んだことはあるが、基本はアニメだった。

友人の間で、ちびまる子ちゃんの話をすることはほとんど無かったが、みんな観ていたと思う。一度だけ、ある日の教室で、誰かが登場人物であるヒデじいの話をし始めた。男子の間で知らない者はいない様子だった。具体的にどんな話をしたかは覚えていないが、盛り上がっていた。

そこへある女子の一人が、「あんたたち、ちびまる子ちゃん知ってるの?」と驚いた様子で声をかけてきた。「当たり前じゃん」と誰かが返した。僕もそう思った。何でそんなこと聞くのだろうと。

女子たちは、どうやら少女まんが雑誌「りぼん」の中の漫画なので男子が観ているはずはないと思っていたらしい。小学生の頃は、どこか男子と女子の間には対立軸があった。だけど、その瞬間は一瞬だったかもしれないけど、ほのぼのとした空気が流れたように思った。

「ちびまる子ちゃん」は、みんなのまるちゃんだった。さくらももこさんの訃報を速報テロップで知ったとき、ドキッとした。中学生、高校生になっても、大人になっても僕はさくらももこのエッセイを読み続けていた。おそらくほとんど読んでいるだろう。もっと、さくらももこの文章が読みたかった。

残念でならない。ご冥福をお祈りいたします。

【元記事:B-Search NEWS No.1356】