雨の終わりを告げに来ました、冬には別れを告げねばなりません。 わたしの、季節だと。 あまやどりはここで終わりにしましょう。 下を向いて歩くのも。 わたしが貴方の手を引きます、そう、別れの季節がやってきます。 でもわたしは出会いの季節でもあります。 もう一度出会いましょう、輪廻のように別れは出会いを誘います。 であいは、わかれをさそいます。 貴方を、愛しています。 別れなければならないのは分かっています。 この雨に隠れて遭うのが精一杯だということも。 駆け落ちできたらいいのにね、地球なんか放っておいて。 きっと輪廻は途切れません。 わたしとあなた、そしてこの青をのぞいて。 だから、青は朽ちていくのだろうね。 (3.24)
火を舐めて寒さを紛らわしていた。 所詮一人に変わりないのだ。 この左胸が焼ききれるまで孤独なのだ。 手を伸ばせる暖かさに縋り私はつららを溶かして歩く。 春だというのに野花ひとつ、咲き誇らない草原で。 虫が嫌いだと春を馬鹿にした私の、罪なのかもしれない。 ららら、春は来ない。はるかぜはふかない。(3.25)
貴方の感性に届くことを期待しているのではない。 ただ単に喋っていないと壊れていきそうで、 取り残された沈黙の石像と化すのが一番に不安なだけだ。 雨さえもしのげず、身体の重さに耐えられず滅んでいく存在に堕ちたくないのだ。 私は好きに雨に打たれて、好きに雨を忍んで、好きに風に打たれて、滅んでゆきたいのだ。 それは叶わずとも、沈黙の存在よりは毛ほどましだと信じているのだ。 貴方の感性に響くことを期待などしていない。 これは私が好きに奏でた詩なのだから。 これこそが、いきがいともよべる、わたしのすべてなのだから。(3.26)
孤高を知らせましょう、醜く育った矜恃さえも貴方を滅ぼすと信じましょう。(3.26)
知りたいとおもうのは罪なのです。 全ては罪なのです。 だから私たちは自分の先祖を勝手に作って崇めるのです。 だって知ったら傷つくから。傷ついてしまうから。 人間とは臆病でえらそうで冷たいものだから。 全てを知りたいと願うくせに、傷つくのを酷く嫌ってしまうから。 好奇心に身投げして地面に当たる寸前ほどでやはり怖いと命綱に縋るような本質なのだから。 ああ、くだらない。冷たい、冷たい冷たい。 知りたいのに知りたくない。 そう彼ら人間とは、存在自体が矛盾しているのだ。 全てを知りたいと大声で高らかに、しかし知らずに隠してしまおう、傷ついてしまう前に。(4.9)
私は孤独だろうか。孤高だろうか。 高いとついただけで、私のプライドはそちらを選んだ。 ただ聳え立つエベレストのように優雅に、私は孤高であるのだ。 ただひたすらに俯いて涙を飲み込む、私は孤高であるのだ。 ああ、すべらしきエベレストよ、いつでも一人は寂しくなかったか。(4.9)
爽快にかける足は麻痺したように痺れていた。 すべてディジタルにしてしまえばいい、私はそう思う。 にんげんだってディジタルにしてしまえばいい。足だって手だって。 優雅に舞を踊るのではなくてシャープな点滅でここを彩ろう。 努力なんてしなくても、スイッチで動くディジタルにしてしまえばいい! ふふふ、私はこうも思う。 イエスかノーだけの感情にしてしまえばいい!そう、ディジタル化してしまえばいい。(4.9)
まわっていた。私たちを乗せた地球は重そうに。 可愛そうに、人間に巣食われたせいで滅びようとする長老、地球よ。 可愛そうに、美しい青のせいで目立ってしまった秀麗、地球よ。 可愛そうに、崩れ行く自分を人間に庇われた哀れな、地球よ。(4.9)
 (08_09_by.uwabami


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