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KOTOKAZE


Short story

カントコトロ

北の民の少女リムセは、シラカンバの森カントコトロへ足を踏み入れる。彼女をいざなうのはシラカンバの化生、月神の御使いである青年。リムセは彼に、秘めたる希いをうちあけるのだが——

センシティブ・ブルー

わかちゃんの背には、みどりの翅がはえている。——大人たちの振りかざす青い硝子片、ひらりはらりと舞う金色の鱗粉。わたしのあおむし。 これはわかちゃんとわたしの、ひとときのはなし。

咲初小藤

何者にもなれず逃げ出した青年と、何者にもなれぬまま生かされる子ども。そんなふたりを見守る老爺。人とともに在るしあわせを知らなかった三人の、しあわせにあふれた旅のはじまり。

繭に紅

一ノ瀬まゆかはあたしの幼なじみ。ご近所さん、数日違いの誕生日、似通った背格好、あたしたちはまるで双子のようだった。けれど、あたしがまゆかに抱く想いは——

ガーデンインユー

かみさまのいつく祖母の庭。五年ぶりに訪れたその場所で、ユウミは少年・ユウとであう。これは、現実と異界のはざまでふたりのユウがかみさまと過ごしたさいごの日のこと。

龍神あしび

南国の珊瑚島。人魚に呪われ洞窟に籠められた少女・シギラは、龍神の寵愛を受ける青年に助け出される。思慕と羨望を胸に、青年の付き人を加えた三人で、あてどない放浪を続けていたが——