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● 篠田節子

「夏の災厄」(毎日新聞社)

それはインドネシアのブンギ島で始まり、島民の命をことごとく奪っていった。埼玉県昭川市で日本脳炎らしき病気が発生した。撲滅したはずの病気だった。患者は高熱を出し、光に弱く、そして甘い匂いを経験した。町はそれによってパニックに陥っていった。

市の保健センターの職員や夜間診療所につとめる医師と看護師たちは、原因を究明し感染を食い止めようとする。しかしこのウィルスの原因は意外なところから判明してくる。

いつ起こってもおかしくない環境問題、医療問題、行政問題が随所にちりばめられ、人々がいかにパニックに立ち向かうか、読んでいてまさにハラハラどきどき。一気に読み上げてしまった。

(文/ののこ)

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「逃避行」(光文社)

何故か色々と考えさせられる小説である。主婦って何なのだろう。家族って何なのだろう。主人公は50代の主婦、更年期障害を抱え、家族とは心が通わなくなってきていた。

ある日、飼い犬のゴールデンリトリバーのポポが、彼にいたずらばかりをする隣家の子どもをかみ殺してしまう。世間体を考え、愛犬を処分しようとする家族。

彼女は愛犬を守るために夫が内緒で土地を買うためにためたお金を持ち出し、一人と一匹は逃避行に走る。たよる相手は誰もいない、信じる相手も誰もいない。心の変化の微妙さがリアルに書かれていて、読み手を誘っているように思われる。

彼女は家族の愛を取り戻せるだろうか。

私も今、彼女と同年輩になるけれど、何故か身につまされる物語である。

(文/ののこ)

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