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「最後の物たちの国で」(柴田元幸 訳/白水Uブックス)
ストーリーは陰鬱。最後の物たちの国でというタイトルのとおり、そこは、食べ物や本や飛行機などあらゆるものが消えていく国、そして時には人間も。ものが消えるだけでなく、そのも のが消えることによって、そのものをあらわしていた、言葉も消えていく。まさに消失がくりかえされるところ。政権は何度も変わり、治安も悪く、おちおち歩いていられないところ。赤 ん坊はもう何年も生まれていない、絶望の国。 そんなところへ、主人公のアンナは行方不明になった兄をさがすためにやってくる。裕福な家庭に育ったであろう、世間知らずで少々高慢ちきなところもあったであろうアンナは、食料を手に入れるため、ささいなお金を手に入れるため、たいへんな努力をしながら、どうにかやっていく。救いなんて、どこにもないのではないかという悲しい出来事が続く。悲惨としかいいようのない小説。 それなのに、私はこの本を読み終わるといつもある種の希望を感じる。それは、主人公アンナがかつての恋人?にあてた手紙という設定のためか、静かに、だけれども、挫けない、そんなアンナの語り口にあるのかもしれない。 オースターの小説の中ではめずらしく、女性が主人公で、ストーリーも寓話的で、独特の位置を占める作品だといえると思います。オースターらしくない小説といえるかもしれないけれど、私は、この作品が実は一番好きです。 (文/mocha website) 本の詳細&購入→ Amazon.co.jp/楽天ブックス
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